人工透析を開始した時、主治医に言われたのは激しい運動はNGという事でした。
運動は適度に、息切れはしないような、はげしくない運動を心がけてくださいね。
息切れしない運動ですか。サッカーや筋トレはだめですか?
そうですね、軽く体を動かす程度にしておいてください。
そうなんですね。
分かりました。泣
腎不全・人工透析では激しい運動が禁止されている理由
激しい運動が禁止されている理由
人工透析で激しい運動が禁止されている事については、もちろん理由があります。
- シャントをつぶしたくない
- 腎臓への血流量の低下を防止したい
- 腎臓へ負担をかけたくない
やはり腎臓への負荷を極力抑えたいという事と、シャントへの配慮が主な理由はこのようになっています。
適度な運動とは
では適度な運動とは、どいう事なのでしょうか。
- 息切れしない程度のウォーキング
- ストレッチ
多くの文献では、軽度な運動がおすすめされているようです。が本当にそうなのでしょうか。
悩ましい所ですよね。
人工透析を受けていた当時のKUNIの状況
動き回るスポーツが大好きな私は絶望しました。
体が弱くなるにつれてメンタルも弱くなっていきます。
最終的に、筋肉もやせ細り、シャンプーする腕ですらだるくなってきました。
さすがにこれはヤバイ、という事で、先生に内緒で少しづつトレーニングを開始しました。
3か月ほど、少しずつ運動強度をあげていき、30分ほどのジョギングと週3~4回の筋力トレーニングをこなせるように筋力はだいぶ戻っていました。
息が上がるくらい激しい運動も最終的には行っていましたが、血液検査の数値も安定し、メンタルもだいぶ良くなって良い事ばかりがおきているようでした。
先生はもちろん、人工透析中の自分の体と相談しよう
結論としては、運動はすべき、という風潮になってきているようです。
もちろん、人工透析中ですから数値や体の状況によります。
積極的に運動を行う事で、いろんな事が改善するという流れになってきています。
激しい運動はできないのか
本記事を執筆中に、たまたまNHKのサイトにたどり着いて腎不全と運動についての記事を拝見しました。
2021年5月6日の記事で、東北大学大学院の教授、上月 正博 (こうづき・まさひろ)という先生が解説されていたようです。
そちらでは、透析患者であっても、以下の改善効果が確認されているとあります。
改善効果が確認された事
- 寿命が延びる
- 透析効率
また、以下についての改善も期待できるとあります。
改善が期待される事
- 心臓の働き
- 運動能力
- 疲労しづらい
- 睡眠の質
- 不安・うつ
- 生活の質
人工透析中の運動制限が設定された理由の予測
なぜ約9年前の私の場合は、運動に制限がかかっていたのでしょうか?
考えられる理由はいくつかあります。
- 当時の血液検査や血圧などの数値では制限が必要だった
- 人工透析の平均年齢は60歳以上であるため、平均の話をもとに決定がなされた
- 当時は情報が古いものと新しいものの間の時代だった
- 現在でも新しい情報を利用する先生と、不確定な新しい情報は利用しない先生が存在する
これらの理由が考えられます。
自分に適した運動とは何か
NHKの記事では、注意事項に加えて、運動強度についても言及されています。
原則、運動禁止のケース
- 心不全、狭心症などの心臓病で症状が不安定
- 収縮期の血圧 180mmHg以上
- 空腹時の血糖値 250mg/dL以上
- 極端な肥満
運動に注意が必要なケース
- 身体を痛めている
- 腎機能の低下が著しい
- 足にむくみがある
人工透析中の運動療法
- 有酸素運動
- 筋力トレーニング
どのくらいやればよいか、という課題が出てきますが、長くスポーツをされていた方は徐々に強度を上げる方法はある程度理解されていると思います。
楽にこなせるところから始めて、最終的にそこそこきつい、という所まで段階をあげていく感じが良いと思います。
私の場合は、有酸素運動は心拍系と体組織系を利用して数値を確認しながらトレーニングを行っていました。
数値で確認する方が、体感で無理しているかどうかよりも正確にトレーニングできると思ったからです。
とはいえ、無理に購入する必要はまったくありません。
あれば便利で、記録されていくのでモチベーションにもなるというアイテムです。
スマートウォッチ型心拍計
最近では安いものもたくさん出てきましたね。多機能でとても便利です。
もっぱら心拍数を計るために利用してますが、多機能で非常に便利です!
タニタのスマホ連動型体組織計
乗ると即スマホにデータが転送されて、過去のデータがグラフで表示されます。
KUNIは毎朝こいつに乗るのが日課です。健康維持のための最強の相棒です。
体内年齢が実年齢より12歳も若い測定結果が出ると朝からウキウキです。
おすすめの有酸素運動
ウォーキング・ジョギング・サイクリング
有酸素運動は、体脂肪の燃焼と呼吸循環器系の機能の向上が期待できます。
簡単に言えば、体脂肪を減らす事で「高血糖、脂質異常、高血圧、動脈硬化」の改善をはかり、心臓周りの筋力を向上させる事で生活習慣病予防を行えるトレーニングです。
心拍系をお持ちの方は、以下の計算式を元に計算してみてくださいね。
目標心拍数心拍数
- 最大心拍数=(220 – 年齢)
- 目標心拍数 = (最大心拍数 – 安静時心拍数)× 運動強度 + 安静時心拍数
例)年齢が50歳の方で安静時の心拍数70の場合
(220-50歳ー70)×40%~60%+70
目標心拍数=110~130
上記の例で40%の運動強度を目指す方は、心拍数が110前後になるように有酸素運動を調節していきます。数値が落ちすぎても上がりすぎてもいけません。
プラスマイナス10くらいにおさまるようにしましょう。
有酸素運動の運動強度、心拍計がない場合のめやす
かなり運動不足の方:
気持ちよく歩けるというスピードで15分ほど
運動強度40%がめやす
少し運動不足の方:
気持ちよく歩けるスピードで30分ほど
運動強度40%がめやす
運動になれてきた方:
ウォーキングのスピード程度のジョギングで15分ほど
運動強度50%がめやす
運動になれた方:
ウォーキングのスピード程度のジョギングで30分ほど
運動強度50%がめやす
さらにスタミナ・体力を付けたい方:
通常のジョギング20分~30分ほど
運動強度60%がめやす
おすすめの筋力トレーニング(筋トレ)
筋トレはいきなりハードなトレーニングは行わないように気を付けてください。
とくに人工透析中の方は筋力が落ち、骨も弱くなっています。
全く無理の無い所から、コツコツ週3回ほど続けるのがベストです。
また、運動不足の方はとにかく下半身の強化が代謝を向上させるために効率が良いので、下半身から行っていきましょう。
かなり運動不足の方:
椅子に座って足を腰の高さまであげる。10回を3セット
少し運動不足の方:
姿勢よく椅子にゆっくり座る、ゆっくり立つ 10回を3セット
※ひざが痛い方は無理をせずに。 テーブルや肘おきにつかまっても大丈夫です。
運動になれてきた方:
スクワット 10回を3セット
※膝に負担を感じる場合は椅子のトレーニング回数を増やしましょう。
運動になれた方:
テーブルや壁につかまって、つま先で背伸び 10回を3セット
スクワット 10回を3セット
椅子に座って膝をなるべく上にあげる 10回を3セット
さらに筋力をつけたい方:
腹筋 10回を3セット
背筋 10回を3セット
スクワット 10回を3セット
腕立て伏せ 10回を3セット
毎日の有酸素運動と、運動になれた方までのトレーニングを週2回~3回行うだけで基本的には運動不足はかなり解消されます。
さらなる高みを目指したい方も、もちろん慣れたらおこなってもらって大丈夫です。
私の最終的なトレーニングはちょこちょこ主治医に無理だけはしないでと言われながらも結構やっていました。ダッシュ○○本とか。いろいろと。
きちんと先生と相談しながら行う事!
そしてつい張り切ってしまいがちですが、張り切るのはNGです。
ゆるく、つらく無い、痛くない程度の運動を継続する事が一番効果的です。
筋トレは筋肉痛が取れてから行うようにしてください。
そして、ごはんをきちんと食べてよく寝る事!トレーニングと同じかそれ以上に睡眠と食事は大切です。
筋トレをする場合、摂取制限量のマックスまでタンパク質は意識して取ってくださいね。
取らないと筋トレで筋肉が傷つくだけで、回復せず余計体に負荷がかかってしまいます。
まとめ:無理せずたくさん運動しましょう!
運動は自分の体に無理が無いかよく相談して、主治医にもたくさん相談してください。
人工透析中は精神的につらい事もたくさんありますが、運動は精神的な負荷もかなり軽減してくれますし、何より活力がわいてきます。
人工透析とは長い長いお付き合いになります。ご自身の出来る範囲で、なるべく運動をたくさんしましょう。
運動やスポーツが大好きな方、全くあきらめる事はありません。
いきなり透析前のような運動はむつかしいかもしれませんが、徐々にステップアップしていけば十分だいすきなスポーツに復帰もできるかと思います。