人工透析を開始した時、周囲の方々が心配して「人工透析とは?」という疑問を独自で調べて教えてくれた事がよくありました。
- 食事制限あるって見たけど、食事誘っていいの?
- 病院たくさん通ってるんだよね?
- 寿命が短くなるって、本当?
よく質問されたり話題にあがったのが、「余命と寿命」の事でした。
そして、先生に質問した事があります。
人工透析患者の余命と寿命
先生、透析患者の寿命って短くなるんですか?
そうですね、一概には言えませんが。一般的には健常者と比較すると短いようです。
そうですよね。ネットで調べても短くなるような事を書いてました。
どれくらい短いものなんですか?
これもひとくくりには言えないんですが。
統計ではだいたい健常者の半分ほどの余命、とされていますね。
そうなんだ。。。そしたら、50歳の健康な人が80歳まで生きるとしたら、
30年の余命だったはずが15年になって、寿命は65歳という事ですよね。
その通りです。性別によっても変わりますが、統計としてはそのようになっています。
しかしあくまで統計、平均の話ですので。中には一般的な余命・寿命をまっとうされる方もいらっしゃるようですよ。
そうですか。なるべく統計以上の余命にできるように頑張りたいですね。
- 人工透析患者の余命は、健常者の余命の約半分
- 余命の統計データは平均値で、一般的な健常者の余命をまっとうする方もいる
実際にデータを分析してみたところ、
30歳の男性の余命は健常者の約60%。
85歳の男性の余命は健常者の約40%。
年齢が高くなるにしたがって、透析患者さんの余命は健常者の方の余命よりも割合がさがっていくようです。
やはり高齢になる方が体への負担が大きいという事でしょうか。
人工透析患者の余命・男女の違い
さっき、男女でも人工透析患者の余命には違いがあるという話でしたけど、
実際どれくらい違いがあるんでしょうか?
もともと、健常者の場合であっても男女で寿命に差がありますよね。
ですからい透析患者さんの場合だけ寿命が変わるという訳ではありません。
- 健常者の女性の余命は、健常者男性の約1.2倍
- 透析患者の女性の余命も、透析患者男性の約1.2倍
データを元に算出してみました。
余命の男女比は透析患者であっても、健常者であっても、おおむね1.2倍女性の余命が長い、という結果になりました。
もともと男性の寿命の方が健常者であっても短い分、透析患者男性の場合は透析患者女性よりも短い、という事になります。
人工透析患者の余命・寿命を延ばす
透析していてふと思ったんですが、透析って週3回、透析をしている時にだけ腎臓が働いているような状態という事ですよね?
そしたら、腎移植をした場合、ずっと腎臓が働く事になるし、余命も延びるという事ですか?
そうですね、透析患者の方に比べ、腎移植をされた方の方が余命が長くなるようです。
では移植が余命をのばすには一番良いという事でしょうか。
現時点ではそう言えるかもしれませんね。
しかし最近では、透析の技術も大きく進歩して、その成績も良いんです。
新しい統計が出てきたらまた余命も変わっていくかもしれませんね。
- 腎移植を行った場合、人工透析患者の余命よりも余命は長くなる
- 透析技術はかなり進歩して成績もあがってきているため、
新しく統計が出てた場合、余命は健常者の50%という通説ではなくなる可能性が高い。
まとめ
- 透析患者の余命は、健常者の約半分
- 余命とは現在の年齢から死亡するまでの年数(寿命とは別)
- 女性の余命は男性の約1.2倍
- 腎移植では、透析患者よりも余命が長くなる
- 上記のデータは2005年のデータを元に算出
近年の透析技術は進歩しており、透析患者の余命も長くなっている可能性が高い
上記の内容を頭に入れておきましょう!
そして、あくまで統計であることと、古いデータの統計であることをお忘れなく。
人工透析は、腎臓の働きの肩代わりをしてくれるものです。
その働きは、通常の腎臓が24時間働く事に対して短く、短い分さまざまな体調不良があります。
腎移植を行った場合、健常者の腎臓の働きよりはおとり、拒絶反応などのリスクもともないます。
しかし、自分の腎臓として24時間はたらいてくれるため、人工透析よりも効率は良いと言えます。
いずれにしても、主治医の方針などをよく聞いて、腎臓を普段から大切にして生活していきたいですね。
腎移植後の余命についてはまた別の記事で執筆してまいります。
※本記事の内容は、実際に医療関係者と私の会話を元に、記載しております。
また、日本透析医学会の統計データも参考に執筆させていただきました。
※(1)透析人口における平均余命(図表37)………………………………………46,47